セイショウスタジオでは練習スタジオを3室所有しており、それぞれの部屋でカーペットを導入した際、部屋が響かない、デッドすぎる音場になったと意識するようになりました。また、フラッターエコーによる音響障害もあり、シンバル等の強い高音に違和感が残るようにもなりました。セイショウスタジオをよく利用するお客様は、アコースティック楽器のユーザーが多く、「この様な音響の中でお客様に受け入れられるのか」という不安がスタッフの中でありました。お客様が満足できるスタジオの為にも、機材の変更ではなく、部屋の音環境を整えることが必要になりました。
平行に向かい合う壁面の間で、音の反射が繰り返されて「ピーンッ」という耳につく音が残る現象。音の反射方向を意図的に変える「散乱」の対策をしていない部屋で生じやすい音響障害です。特に直方体の部屋では起こりやすくなります。耳につく嫌な響きが残り、楽器の音色も本来とは違う音に聞こえてしまいます。
たとえば高音だけ極端に吸音されてしまうと、吸音されていない低音が目立ってしまい、モコモコと聴こえてしまう現象が生じます。また高音を吸いすぎたために、楽器の音色にも影響がでてしまいます。響きの周波数バランスを整えることが、楽器演奏の理想の場です。
悩みであった、デッドな音場に「響きを加える」という点、また高音の不快な音が残ってしまう「フラッターエコーの解消」ができるという点から、お付き合いがあった楽器店から『調音パネル』を推薦されました。今までデッドな音場であったスタジオに「自然な音の響き」が追加され、スタジオ内で鳴らす楽器の音が大幅に改善されました。今まで「止まっていた」音が広がりを持つようになり、実際にドラムを叩いてみても、シンバルを叩いた後に残っていたフラッターエコーは改善されました。楽器だけではなく、バンドのボーカルや声楽に関しても、音場が改善されたことによって余計に力を出す必要がなくなり、スタジオ内で練習する人にとって「演奏しやすい」「歌いやすい」環境を実現。現在『調音パネル』は2つのスタジオに設置していましたが、その効果がセイショウスタジオのスタッフ、そして何もよりもスタジオを利用するお客様から評価され、残り1つのスタジオと、すでに調音パネルが設置している部屋にも追加で設置することになりました。
一番嬉しかったのは、スタジオを利用してくれているプロの方が「音よくなったね、レコーディングでもこの部屋を使いたい」と言ってくれたことです。スタジオの予約の際、パネルが設置している部屋で練習したいというお客さんも増えました。楽器をやらない親戚でも、「この部屋かわったね」と音の違いが明確に出るのは驚きでしたね。本当に音が変わったなと思います。音響というとわからないことが多いし、調音パネルを入れることで「本当にそこまでする?」というコメントも同業者の方から以前ありましたが、お客様の評判を聞いたり、自分で効果を実感して本当によかったと思います。最近の利用者は自分たちの演奏風景を録音・録画するようにもなりましたが、調音パネルを入れて見栄えもよくなりました。他のスタジオと比べ、セイショウスタジオならではのポイントが出来てよかったです。
(2018年05月28日 掲載)