大学におけるICT活用の推進を目的に設立され、国公私立大学や研究機関など140の大学等を正会員として組織するAXIES(一般社団法人 大学ICT推進協議会)。2011年の設立以降、毎年1,000名近い参加者が集い、会員同士の交流や情報交換を行う年次大会を開催してきましたが、2020年はコロナ禍の影響で完全オンライン開催に踏み切りました。続く2021年は、新規感染者数/重症数ともに落ち着きを見せていたものの、出張を認めない大学・企業も少なくなかったことから、これもまた初となるリアルとオンラインのハイブリッド形式での開催を決定。このため2021年の幹事校 慶應義塾大学による実行委員会は、会場の手配や開催告知・案内など通常の準備に加え、リモート参加の会員が各会場のセッションを視聴したり、チャットなどで2wayコミュニケーションできる環境・設備を、限られた時間/人的リソースで準備する必要に迫られました。
ハイブリッド開催において課題となったのは、リモート参加者と各会場間で双方向の映像や音声を共有し、ライブ感や一体感を実現することでした。特に、参加者が快適に視聴でき理解を深めるうえで高品質な音声が欠かせないと考えた実行委員会では、旧PJPシリーズの時代から導入実績が豊富なヤマハ製マイクスピーカーの利用を検討。ヤマハ株式会社と協議の結果、ゴールド協賛企業に迎える形でYVC-1000+YVC-MIC1000EX(10セット)の提供を受けることになりました。YVC-1000を選定したのにはいくつか理由があります。まずは、①慶應義塾大学において長年利用してきたなかで、その機能や性能を高く評価していたこと。さらに、②慶應義塾大学のみならず幅広く全国の大学で導入されており、操作に慣れ親しんでいること。このほか、③セッション会場(8箇所)への設置&テスト・セッティングが短時間で手早くできることや、④収容人数100人規模の会場において、リモート参加の音声をこれ1台で隅々まで届けられることなどです。特に、コロナ禍で必要最小限のスタッフで準備をした関係上、設置やテストに避ける人員も少ない中で作業時間が長引くと時間貸しの会場代がかさんでしまう問題があり、コスト抑制の観点からも③のポイントは重要でした。
会場となった幕張メッセの各会議室にはマイク・スピーカー・ミキサーなどPAシステムが用意されていますが、今回はそれらをリアル参加用とし、YVC-1000+YVC-MIC1000EXはリモート参加向け専用に別系統で使用することとしました。拡張性にすぐれるYVC-1000はPAシステムに簡単に接続し拡張可能ですが、セッティングや調整はたとえ短時間であったとしても会場数が多いと大きな負担でした。そのため準備の効率化とコスト削減を優先し、あえてYVC-1000を単独で使用したのです。これも、PAシステムとの音声干渉などトラブルを回避できる高性能なエコーキャンセラーや、大きな会場の隅々まで音声を届けることができる大出力スピーカー、会場内のクリアな音声をリモート参加者に届ける集音性にすぐれたマイクを複数必要に応じて増設できるYVC-1000だからこそ可能な判断でした。これにより、8会場への設置&調整を数人のスタッフで短時間のうちに完了。約900名が参加(うち約500名がリアル参加)し3日間にわたり開催された計56のセッションを通じ、大きなトラブルもなくハイブリッド開催を成功裏に終えることができました。
(左)2021年度年次大会 実行委員会
プログラム委員長 砂原 秀樹 氏
(慶應義塾大学 メディアデザイン研究科 教授)
(右)2021年度年次大会 実行委員会 展示・会場担当
工藤 紀篤 氏(慶應義塾大学 SFC研究所)
進化し続けるヤマハのマイクスピーカーは大学にとってスタンダードな存在に
授業やセミナーのオンライン開催では音声品質によって理解度が大きく左右されるため、慶應義塾大学ではYVCシリーズの前身であるPJPシリーズの時代からヤマハのマイクスピーカーを利用してきました。長年使用してきたなかで、特にYVC-1000になってエコーキャンセラーの性能が著しく向上した印象で、会場のPAシステムと併用した今回の年次大会でも、音声のループなど相互干渉による音声トラブルもなく3日間を終えることができました。自室で1人で使うパーソナル用途のモデルから今回のような大きな部屋に対応したモデルまで用途に合わせて様々な機種があり、大学における教育や研究活動のあらゆる場面において、本学だけでなく他大学でも無くてはならないスタンダードになっているようです。
(2022年02月21日 掲載)
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