2022年12月末から3週間、PARCO MUSEUM TOKYOにて、4人組ロックバンド「クリープハイプ」のメジャーデビュー10周年を記念した展覧会『クリープハイプの声をシャワーのように浴びる展』を開催しました。クリープハイプの展覧会を開催するのは今回で3回目となりますが、新しい試みとして「声」に着目した展示を企画しました。惹き込まれるビジュアルだけでなく、この場所に来なければ絶対に味わえない感覚を、声を通じて来場者に体験してもらいたいという思いのもと、音響エンジニアと共に音の演出に力を入れました。今回の展覧会ではYFSを含め6種類のスピーカーを展示内容に合わせて使い分けています。
クリープハイプのヒストリーをテーマとした展示でYFSを採用したことにより、歴代のライブ音声と歓声に包みこまれる体験を実現できました。床に書かれた4つの西暦の上に立つと、距離センサーによって人を感知し、頭上に設置されたスピーカーからその年に行われたライブ音声が再生される仕組みです。展示の準備段階で様々なスピーカーを試しましたが、一般的なパワードスピーカーでは、スピーカーの存在が強く意識され、音の臨場感が損なわれてしまいました。また、店舗用の無指向性スピーカーでは音の広がりが強く、音に包まれている感覚が薄くなってしまいました。今回の展示に適切な音量や、適切な音の広がりを実現できたのがYFSで、もっとも「音声と歓声に包みこまれる」効果が実感でき、リアリティーのある音声を届けることができました。
この展覧会では音の演出に力を入れており、開催ギリギリまでスピーカー設置位置などを調整することがありましたが、YFSはスピーカー1枚1枚がとても軽量のため、現場調整の際も助かりました。展覧会には多くのファンに足を運んでいただいたこともあり、数名の方が一度にこのヒストリー体験をされた場合に音が重なってしまう心配もありましたが、YFSの指向性によってゾーニングされ、音の重なりを抑えることができました。YFSを採用した今回の展示は、来場者からの反応がとても良く、企画側としてその効果にとても満足しています。
(2023年2月14日 掲載)
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