2005年1月に松阪市・嬉野町・三雲町・飯南町・飯高町の1市4町が合併し誕生した松阪市では、年間800近く(延べ1200時間)に及ぶ会議の内容をICレコーダーで録音し、それを聞き直してデータ化(文字起こし)する会議録作成業務に約2,700時間を要していました。市の行財政改革を担う市政改革課では、人件費換算で500万円以上にのぼるとされる会議録作成業務の省力化・効率化に向け、AIを活用した会議録作成支援システムの導入を検討。各社のトライアルサービスを活用し、複数の会議録作成支援システムを比較することに。
ICレコーダーで録音した既存のデータを用いてトライアルを実施したところ、システムの優劣以前に、音声品質が悪く正しく認識されない録音データが多いことが判明。特に大人数が参加する会議では、ICレコーダーから離れた参加者の発言を十分な音量で拾うことができず、システムによる認識率が低下する傾向が顕著に。認識率の低下は文字起こし後のチェック&修正など工数増に直結するため、録音データの品質向上が優先課題として浮上しました。
録音品質の向上にあたっては、マイクを通した録音は不可欠であると判断し、さまざまなマイクにてテストを実施。マイクをテストする前提として、職員が使用する標準PCに録音ソフトがインストールされておらず、また、多くの職員はICレコーダーでの録音に慣れ親しんでいることから、ICレコーダーに接続できる外部マイクを検討することに。トライアル時にさまざまなマイクの提案を受け、そのうちの一つとしてヤマハのマイクスピーカーシステム「YVC-1000」を試し、下記に挙げるような優れた性能・メリットを実際に体験しました。
◎ICレコーダーとオーディオケーブルで接続することで集音力が高まり、参加者全員の音声をクリアに録音できる
◎参加人数や会議室の広さにあわせて、YVC-1000に拡張マイクYVC-MIC1000EXを接続し、最大30名程度が参加する会議にも対応
◎グースネックマイクやバウンダリーマイクを人数分用意するよりもシンプルな構成で、持ち運びやセッティングが容易
会議録作成支援システムの認識率を左右する録音データの品質向上に一定の効果が見込めると判断した同市は、2021年3月、会議録作成支援システムに先行してYVC-1000(+YVC-MIC1000EX)✕2セットおよびYVC-330✕2台を導入しました。会議録作成支援システムについては、公募型プロポーザル方式で株式会社シーエスイーから提案があった、株式会社アドバンスト・メディアのクラウドサービス「ProVoXT(プロボクスト)」を選定し、2021年7月から利用を開始しました。
マイクスピーカーのみ先行導入したこともあり、当初の稼働率は1割程度でしたが、会議録作成支援システムが導入された2021年7月以降は稼働率が上昇。特にYVC-1000は、大人数が参加する会議/Web会議において不可欠の存在になりつつあり、稼働率は高い月で9割近くに達し、システムでの予約が埋まっていて利用できないケースがたびたび発生しているほどです。YVC-330は、主として本庁と支所等をつないで実施される小規模なWeb会議で利用されており、こちらも会議録作成が必要なケースではYVC-1000同様、ICレコーダーを接続して録音しています。
市政改革課では、システムの運用から半年を経過した2022年1月に効果検証を実施。マイクスピーカーを通して録音した場合、システムによる認識率が70%を超える場合が多くなり、かつて会議時間の5倍以上を要していた文字起こし作業が、会議時間の2倍程度でできる結果に。システムの活用により、全体を通して職員の作業量がシステム使用前と比較し約63%となり、年間では職員の作業時間が500時間以上削減できる見込みとなりました。
松阪市役所 企画振興部 市政改革課 改革係
世古 貴彦 様
DXや働き方改革に資する製品や提案を期待しています
松阪市ではデジタル技術を活用した業務改善に取り組んでおり、庁内業務の効率化や在宅勤務などニューノーマルに向けた場所にとらわれない働き方にもチャレンジしています。こうしたケースでスムーズなコミュニケーションを実現するうえでもYVCシリーズのような製品は重要です。今後もヤマハにはDXや働き方改革の推進に役立つソリューション提案を期待しています。
(2022年02月14日 掲載)
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