2018年6月、1階と2階にある8つの外来受付にそれぞれ2台ずつ計16台の「VSP-1」を設置しました。きっかけとなったのは、国際的な医療機能評価「JCI※1」の認証取得でした。かねてよりグループをあげて同認証取得に取り組んできた結果、すでに6つの病院で認証を取得済みで、ここ福岡徳洲会病院も来月(2018年12月)の審査に向けて準備を進めているところです。
JCI認証では広範かつ詳細な項目について審査を受けることになりますが、その中のひとつに“患者様のプライバシー保護”があります。複数の外来受付が広いオープンスペースに並ぶ当院の場合、受付での職員と患者様のコミュニケーションがほかの患者様から丸見えで、受付で受診時の会話や奥の診察室での問診時の会話が漏れ聞こえてしまう懸念があり、プライバシー保護の観点で万全とは言い難い状況でした。
対策を模索・検討するなか、外部業者を通じてヤマハのスピーチプライバシーシステム「VSP-1」の存在を知り、同製品で音声面での対策(受付や診察室での会話がほかの患者様に聞こえないよう)ができないか、ヤマハからデモ機2台をお借りして実際に試してみることにしました。会話の内容がデリケートで最も対策が求められる泌尿器科の外来受付にデモ機を設置して試したところ十分な効果が認められたことから、最終的に1・2階にある8つの外来受付に各2台、計16台を導入・設置することにしました。
※1 米国の医療施設を対象とした第三者評価機関「Joint Commission(元JCAHO:1951年設立)」の国際部門として、1994年に設立された国際非営利団体「Joint Commission International」の略称。医療の質と患者安全の継続的な改善を目的とし、世界90カ国以上の医療施設を支援している。
JCI認証は、世界で最も審査が厳しいことで知られるが、国際的に安心・安全で質の高い最善の医療を提供する証として、取得する医療施設が増加している。本部:シカゴ、支部:ミラノ/ドバイ/シンガポール。
※医療法人 徳洲会 福岡徳洲会病院は、2018年12月に「JCI」の認証を申請し、2019年1月に取得しました。
総合外来 岡村恵己(看護師長)様
「VSP-1」を設置したことで、受診時・問診時の会話がほかの患者様に聞こえにくくなりました。導入当初は「VSP-1」が発する“マスキング音※2”に対する患者様の反応が心配でしたが、患者様が大勢いらっしゃってざわざわした環境ではほとんど気にならない様子で安心しました。ただ、患者様が少なくなって静かになると気になる方もいるようで、混雑具合に応じてボリュームを少し落とすなど調整が必要かもしれません。また、「VSP-1」は床置き設置が基本(もっとも理想的なマスキング効果が得られる)ということですが、車椅子や杖を利用の患者様や歩行が不安定な患者様にとっては邪魔になる可能性があり、マスキング効果を確保しつつ邪魔にならないようどこに設置するかが悩みどころでした。
操作がシンプルなので現場への導入もスムーズで、電源のオン・オフやボリューム調整など日々の運用も現場の職員にまかせています。オープンスペースということもあり、受付ごとに異なるマスキング音を流すと耳障りなので、各階でマスキング音を統一するようにしてもらっています。実際に流しているマスキング音はどこか自然を感じさせ心地よく、常に患者様の様子など各所に目を配りながら業務にあたる現場職員にとって、緊張を和らげる“癒し効果”があるようで「リラックスして業務にあたれる」と好評です。
今回の「VSP-1」導入・設置が、来月実施予定のJCI審査でどのように評価されるかを見極めつつ、より安心・安全な医療施設を目指し、引き続き患者様のプライバシー保護強化に努めてまいりたいと思います。
※2 「VSP-1」のマスキング音は、各2種類の「川のせせらぎの音」「森の音」のほか、「海辺の音」「都会の雑踏の音」「ホテルのロビーの音」「室内空調の音」の計8種類の音色が用意されている。
(2019年03月13日 掲載)
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