首都圏を中心に「H¹T」ブランドの時間貸しサテライト型シェアオフィス58店舗(2020年11月13日現在、提携店舗含む)を展開する野村不動産株式会社。コロナ禍により同年4・5月は全面休業を余儀なくされたものの、6月の営業再開以降は、withコロナでオフィスの分散化を模索する企業のサテライトオフィス需要に支えられ、徐々に利用者数が戻ってきました。
一方で、新たな課題も生まれました。H¹Tでは、お客様の業務ニーズにあわせ、ルーム(1人用の個室から複数で利用する会議室まで)やオープンスペース(Box席含む)のほか、開放型の半個室ブースなど、多彩なワークスペースを用意していますが、新型コロナ感染対策としてオープンスペースでの会話・通話やWeb会議を禁止した結果、コロナ禍で急速に普及&定着したWeb会議ニーズに対応しきれなくなる可能性がでてきたのです。コロナ禍の長期化を見据え、感染症対策を続けつつ、Web会議が可能なスペース、特に人気の個室の拡大が求められていました。
2019年7月にオープンしたH¹T立川店の場合、営業再開後にWeb会議が可能な席は、フロア全体で約50席のうち7つの完全個室と2つの会議室(4席/6席)の17席でした。オープンスペースは感染対策上Web会議の再開が難しく、残されたスペースは8つの半個室ブースのみです。しかしながら同ブースは上部が開放されており、会話などの音声がブース外に漏れて聞こえてしまうため、Web会議を実施するにはセキュリティ上の懸念がありました。ですが、これを完全個室化するとなると、各室に空調や防火設備などを備える必要があり、工事のコストや工事中の休業対応などもあり非現実的でした。
コストを抑えて会話漏れ対策を実現できないか悩むなか、店舗の施工やメンテナンスなどを担うパートナー企業、㈱コバヤシから提案されたのが、防音ではなくサウンドマスキングという考え方のVSP-2でした。
自社の会議室でもVSP-2を導入しその効果を体験済みだったコバヤシでは、同年8月VSP-2による半個室ブースの会話漏れ対策を提案。野村不動産ではその高い費用対効果を評価し、9月早々にVSP-2の導入を決定。防音室などヤマハ製品の特約店であり、VSP-2についても設置・設定など豊富なノウハウを有するコバヤシによって、約1ヵ月で直営店34店舗の半個室ブースへのVSP-2と拡張スピーカーVSP-SP2の設置を終えました。その結果、前述の立川店では人気の1名個室が7席から15席に倍増。10月5日より、全直営店において半個室ブースでのWeb会議解禁をアナウンスした結果、多くの店舗で利用率がコロナ禍以前の水準に近付くなど、早速大きな効果があらわれています。
野村不動産株式会社 都市開発事業本部 藤澤 菜穂子 様
VSP-2を設置したブースを利用されるお客様の一部からは、常時流れているマスキング音に関して問合せが入ったりしましたが、“安心してWeb会議をご利用いただくための情報漏えい対策です”とご説明差し上げると皆さま納得されます。情報セキュリティは契約される法人様にとっても重要な評価ポイントになるので、ブースエリアの入り口や各ブース内に音量や効果について説明したステッカーを貼るなど、積極的にアピールするようにしています。
[ パートナーズ企業 ] 株式会社コバヤシ 営業開発部 部長 石坂 覚 様
VSP-2のアンプはデスク天板の裏面に固定していますが、利用者が勝手に音量を下げたり電源を切ったりできないよう、特殊なケースをヤマハさんに依頼して製作してもらいました。これからも出店ラッシュが続きますが、VSP-2による低コストの会話漏れ対策を前提に半個室ブースを増やすなど、オフィス設計自体も変わってくるのではと考えています。withコロナ時代のオフィスのありかたについて音のご提案をいたします。
8つの開放型半個室ブースそれぞれのパーティション上部にスピーカーを設置。天井で反射して拡散するマスキング音でブース内の会話・通話が外に漏れないように対策。VSP-2のアンプは特注のケースに入れてブース利用者の目に触れないデスク天板の裏に固定。
(2021年01月12日 掲載)
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