ICTを活用して、小規模高等学校における教員不足や、それにともなう教育レベル格差などの課題解決を目指す、文部科学省の「COREハイスクール・ネットワーク構想」。令和3年度は全国13自治体の教育委員会で事業が採択され、3年間の実証研究がスタートしています。そのひとつ、広島県教育委員会では、拠点校(1校)+連携校(3校)からなる4校を1つのコンソーシアムとして「東」「中央」「西」の3つのコンソーシアムが編成され、全12校に遠隔教育システムが導入されました。遠隔教育システムは、電子黒板と大型モニターを中心に、PC・Webカメラや書画カメラ・音声コミュニケーションを担うYVC-1000(およびその拡張マイク)などで構成されます。
遠隔授業のモデルケースとして、拠点校の教室から教師が、連携校1校の教室に対しライブ配信する形で行われ、今回の取材にご協力いただいた「東」コンソーシアム拠点校の福山誠之館高等学校では、教師5名が理・社系4科目の遠隔授業を、週に10コマ程度各連携校に対し配信。このほか令和3年度は、コンソーシアムの4校がそれぞれ進める、総合的な探究の時間の合同発表会がオンラインで2回開催され、その際もこの遠隔教育システムが活躍しました。遠隔授業を配信する福山誠之館高等学校の教室では、YVC-1000にPCとワイヤレスマイクが接続され、教師が自由に動き回れる状態で、クリアな音声を相手校の教室に届けると同時に、相手校の教室にいる生徒や補助教員の声をYVC-1000から出力する仕組みで音声コミュニケーションを実現しています。
同県教委では、遠隔授業の科目について徐々に遠隔授業を増やし、令和5年度には、試験を経て単位認定までおこなう計画で、3年間の実証研究の結果に関心と期待を寄せています。このほか、福山誠之館高等学校では、今回実証研究ではじめて触れた遠隔教育システムについて遠隔授業以外の可能性を感じており、たとえば、複数の高校が合同で文化系部活動を行なったり、海外の姉妹校とリモートで交流するなど、様々なシナリオで活用できるのではとアイディアを膨らませています。
当初「遠隔授業」と聞いて、録画収録をした動画を配信する形式をイメージしていたので、今回のようなシステムを用いた、お互いを把握しながら映像や音声をリアルタイムで視聴しライブ授業を行うというのは、当校としても新鮮で貴重な体験です。一方で、遠隔授業が普及していくなか、対面授業にはない課題も見えてきました。会ったこともない・習熟度レベルも分からない、他校の生徒にリモートで授業を行うため、生徒がどの程度の理解できているのか把握しづらく、取り残されてしまう生徒が出てくる可能性があります。その点で、今回のシステムはリアルタイムに生徒の表情や疑問を確認でき、話しかけながら授業を進められます。さらに教師がまさに相手校の教室にいるかのような、より生徒の細かな状況やノートの記入内容まで確認できるようになると、理想的ですね。今後、デジタル社会を生きる生徒達のためにも、もっと積極的にICTを活用していこうという思いを強くしました。
テクノホライゾン株式会社 エルモカンパニー
全国13自治体のうち、広島県を含む4自治体で弊社の提案が採用されました。YVC-1000は外部マイク接続など拡張性も高く、様々な教育機関で導入され、事実上スタンダードになっている印象です。今回も、弊社から広島県教育委員会様にヤマハ製品(YVC-1000)を推奨させていただいた結果、セットでの導入に至りました。
https://www.elmo.co.jp/product/software/xsync-prime-academic/YVC-1000を接続したPC同士をインターネット経由でつなぎ、2校間で高品質の音声コミュニケーションを実現。配信校の教室では、YVC-1000に外部接続したワイヤレスマイクで教師の音声を収音。受信校の教室では、YVC-1000のマイクで生徒の音声を収音。両校とも相手校の音声はYVC-1000で出力している。
(2022年10月24日 掲載)
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