スピーチプライバシーとは、会話の内容が第三者に漏れ聞こえてしまうことを防ごうという考え方で、近年、重要な会話や他人には聞かれたくないプライベートな会話に、配慮を求める社会的ニーズが徐々に高まりつつあります。医療施設・オフィス・金融・行政機関・福祉施設等、コミュニケーションが欠かせない多くの場所で、会話から漏れてしまうプライバシー・機密情報を守る取組が始まっています。
会話から漏れ聞こえてしまうプライバシーや機密情報をどう守るか、その基本を簡単に説明します。主な方法は3つ、それぞれの頭文字をつなげてABCルールと呼ばれています。
A:Absorb(吸音)、B:Block(遮断)、C:Cover Up(マスキング)です。
お互いの距離を離すことで音は減衰し小さくなります。会話の声は、床や天井の材質により大きくなったり小さくなったりします。
反射によって音は大きくなり、吸音すると音の増加を抑えることができます。吸音材の使用は会話の漏れ聞こえ対策に有効です。
衝立や壁で遮断すると音は小さくなります。天井まで衝立(間仕切り)があると、音の減衰はより大きくなります。
元々部屋にある音(エアコン・TV等)を暗騒音と言いますが、これに付加してマスキング音を周囲に流し、漏れてくる会話の内容を聞き取りにくくします。『聞こえるが内容は理解できない』環境を作り出します。VSP-1はこの方式です。床置きなので大掛かりな工事(休業)は不要、導入コストも抑えられます。会話が欠かせない場所で必要に応じて設置できるため、規模の大小にかかわらず、設置台数、費用とも柔軟な対応が可能です。
欧米では50年以上前から主に疑似空調音などの人工的なノイズによるスピーチプライバシー対策が行なわれてきました。しかしノイズ方式は、いわば音量で会話をかき消す方式であり、「人にとって快適なものとは言えない」とヤマハは考えました。音のヤマハだから提案できる新たなソリューション。それは、「会話を音で包みかくす」という発想でした。人の話し声を素材に合成した「情報マスキング音」により会話内容をカモフラージュする独自の技術を開発。「話し声は聞こえるが内容はわかりにくい」という状況をつくりだし、ノイズ方式よりも小音量でスピーチプライバシーを快適に守ります。
「スピーチプライバシーシステムは、人の声を素材にヤマハが独自開発した合成音「情報マスキング音」を使用します。情報マスキング方式は、音量で会話をかき消す従来のノイズ方式と異なり、「音」で会話の中の音声情報をカモフラージュして会話を包みかくします。そのため、比較的小さい音量で高い効果が発揮でき、空間の快適さをそこないません。
右のグラフは「ヤマハマスキング音」、欧米で一般的に採用されている「ノイズマスキング音」、「クラシック音楽での試み」の3方式でマスキング性能を比較したものです。横軸はマスキング音の大きさ、縦軸はマスキング音再生時の単語了解度を示します。了解度は数値が小さいほど会話の内容が分かりにくくなり、単語了解度0.1は「10語に1語しか聞き取れない」ことを意味します。「ヤマハマスキング音」のNO.1は57.5dBA、NO.7は59dBAで単語了解度0.1を達成しますが、「ノイズマスキング音」で同様の効果を得るには、6~7.5dBA大きい音量の65dBAで音を流す必要があります。
このように「ヤマハマスキング音」は比較的小音量で高いマスキング効果を得ることができ、スピーチプライバシーが守られた快適な音空間を提供します。
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