モデル共通
スピーチプライバシーとは、主に他人には聞かれたくない個人情報や、漏洩させてはいけない重要な機密情報などを含んだ会話の内容が、第三者に聞こえてしまうことを防ごうという考え方です。対策すべき対象は大きく分けて、「会話の漏洩」と「会話による侵害」の二つがあります。
- 会話の漏洩
他人には聞かれたくない個人情報や、知られてはいけない重要な機密情報などを含んだ会話の内容が、第三者に聞こえてしまうことです。 - 会話による侵害
周囲から聞こえてくる会話が邪魔になって仕事に集中できなかったり作業効率が低下してしまうことなどを指します。
※ヤマハのスピーチプライバシーシステムは、聞かれたくない会話を独自の情報マスキング音でカモフラージュし、会話のプライバシーを守ることで、個人情報等が第三者に聞かれる「漏洩」を防ぎ、また会話が聞こえることで集中作業の妨げになる「侵害」を防ぐことを目的とした製品です。
マスキングとは、ある音が別の音で妨害されて聞こえづらくなる聴覚現象をいいます。この現象を利用して、マスキング音と呼ばれる音を流すことで、聞きたくない音や他人に聞かれたくない会話をわかりづらくさせる技術がサウンドマスキングです。「洗い物の水音によって、テレビの音が聞こえにくくなる」といった現象がありますが、このような聴覚現象を利用しています。
サウンドマスキングには、「エネルギーマスキング」と「情報マスキング」の2種類があります。
- エネルギーマスキング
ザーというような定常的なノイズを使用します。音のエネルギー差によって生じるマスキングのことです。
ノイズを使った一般的なサウンドマスキングシステムはこのエネルギーマスキングを利用したものです。ノイズと会話音声は音の特性が異なるため分離して聞こえやすく、十分なマスキング効果を得るためにはノイズの音量を上げる必要があります。 - 情報マスキング
周波数・時間・空間特性などのエネルギー以外の要因によって生じるマスキングのことです。
音声を加工して意味を分からなくした音などを使用しますが、ヤマハではさらに川のせせらぎの音などを加え、心地よさにも配慮した音を使用します。人の声から合成したヤマハの情報マスキング音は会話音声と音の特性が似ており区別しづらいため、小さな音量でも十分なマスキング効果を得ることができます。
会話が消えてしまうわけではありません。
聞かれたくない会話の声に、ヤマハが独自に開発したマスキング音という特殊な音を重ねることで聞こえにくくします。
情報マスキングを利用した効率の高い独自開発のマスキング音により、一般的なノイズマスキングシステムに比べて小さな音量で運用できます。また、設置環境や好みにあわせて音色を選択できる環境音や、必要に応じてオン/オフを選択できる演出音により、心地よい音環境を演出することができます。
- 情報マスキング音
人の会話音声を使って合成したヤマハ独自のマスキング音です。聞かれたくない会話音声と音の特性が似ているため、一般的なノイズよりも小さな音量で効率よく会話内容をわかりにくくすることができます。 - 環境音
情報マスキング音が違和感なく空間になじみやすくするための音です。森の音や川のせせらぎなどの自然音や雑踏音、空調音などの音色があり、使用する環境に応じて選択できます。 - 演出音
文字通り空間の雰囲気を演出するための音で、電子音や楽器音から構成されています。音が断続的に流れるので、聞かれたくない会話音声から第三者の気をそらす効果もあります。
※演出音は必要に応じてオン/オフができます。
長さが同じ複数の単語を聞いたときに正確に聞き取れる単語の割合を示したもので、数値が小さいほど会話の内容が分かりにくくなることをあらわしています。
例えば、単語了解度が0.1というのは、10個の単語を聞いたときに1個だけ正確に聞き取ることができるが、残りの9個は聞き取ることができないことをあらわしており、この条件で会話を聞いた場合には、話し声は聞こえるけれども、その内容はほとんど理解できないという状態になります。
音圧レベルを表す単位です。
レベルが10dB上がると音量が2倍になったように感じ、逆に10dB下がると音量が半分になったように感じます。
ある特定の音に着目したとき、特定の音以外にその場に存在する全ての音を暗騒音と呼びます。
スピーチプライバシーを考える場合、聞かれたくない会話の声以外の全ての音(例えば、空調騒音、交通騒音、物音など)が暗騒音になります。
会話を聞かれたくない人がいる場所で、「会話している人の声は聞こえるが、話している内容についてはほとんど理解できない」という状態になるようにマスキング音の音量を調整してください。
必要以上に音量を上げすぎると、マスキング音がうるさく不快に感じたり、会話の邪魔になったりする可能性がありますので注意してください。
問題ありません。その場合は、演出音をオフにしてください。
ある程度の効果は期待できますが十分ではありません。
音楽は人の声とは音の特徴が異なるので聞き分けやすく、特にクラシック音楽では音量をあげてもほとんど効果が期待できません。また、テレビの音声は音量が小さくなったり途切れた時には聞こえやすくなってしまうなど、安定したマスキング効果を得ることができません。
本体には機能として搭載されていません。市販で販売されているタイマーをコントロールユニットとコンセントの間に使えば設定した時間でon/offができると思われますが、動作検証は行なっておりませんので、動作の保証はしかねます。
貸出は可能です。貸出のご相談については各販売代理店の最寄の支店にお問い合わせください。
販売代理店一覧
スピーチプライバシーシステムは販売代理店からご購入いただけます。各販売代理店の最寄の支店にお問い合わせください。
販売代理店一覧
VSP-2
主な特長として下記が挙げられます。
- アンプとスピーカーが分離したセパレート型により、スピーカーを壁や天井などへ簡単に取り付けることが可能
- 指向性の広いスピーカーにより、スピーカー4台でおよそ100㎡の中規模エリアをマスキング可能
- 洗練されたデザインの小型スピーカーは白と黒の2色をラインナップとし、様々なシーンに合わせて選択が可能
- 情報マスキング音の調整機能により、設置環境に適したマスキングの選択が可能
また、森の音など自然環境音だけの音場や、人が会話をしているようなカフェのような喧騒を演出し、会話しやすい環境を作ることが可能
ヤマハのサウンドマスキング製品としては、下記が挙げられます。
- VSP-1:小規模・パーソナルスペース用(台数を増やし適用範囲の拡張が可能)を対象とし、工事不要で床置き可能なオールインワンタイプ。
- VSP-2:小規模~中規模(100㎡)エリアを対象とし、スピーカーは壁や天井に取り付けることができるアンプとのセパレートタイプ。
- MRX7-D:大規模エリアを対象とし、サウンドマスキングだけでなくBGM配信などマスキング以外の機能も多数搭載したプロセッサー。
電気工事は不要ですが、スピーカーをビスで取り付ける、配線を隠蔽するなどの作業が必要となります。
壁や天井に取り付ける場合は同梱の取付金具(取り付けのビスは現地手配)を使用してください。
また、同梱のレールマウントアダプターを使えば配線ダクト(照明などを取り付けるレール)への取り付けが可能です。
ビスがしっかりと固定できればカウンターの裏面や、オフィス家具の天板の裏にも取り付けも可能です。
壁や天井に取り付けるためのマウント金具や、照明レール(ライティングレール)に取り付けるためのマウントアダプターを製品に同梱しております。
その他、別売品のパーティション用取付金具をご使用いただくことで、オフィス内のパーティションに、VSP-2を固定設置することが可能になります。
※パーティションの形状・種類によっては、取付できない場合があります。
製品の詳細・ご購入に関しては、株式会社一ノ坪製作所にお問い合わせください。
お問い合わせ電話番号:0745-76-3032(受付/8:00~17:00 定休日/日曜祝日、指定土曜日)
パーティション用取付金具
基本的には会話が漏れてくる方向からマスキングしたいエリアに向けて取り付けてください。
壁に付ける場合は、スピーカーは首を振れるため、天井側にあおって付けると、間接的にマスキングを流すことができます。
スピーカーをビスで固定できればどこへでも取り付けできますが、ビスが固定できない素材(ガラスなど)へは取り付けができません。
付属ケーブル(AWG22)よりも長距離を配線する場合、AWG20(0.5㎟)~AWG16(1.3㎟)のケーブルをお使いください。
AE線でも代用可能です。その場合、AE0.9かAE1.2をお使いください。
VSP-2に付属されているスピーカー2台にオプションのVSP-SP2を2台追加し、最大4台まで接続できます。但し、1台、3台といった奇数台は接続できません。
マスキングを適用する環境とエリアによりますが、例えば、
- 壁からの声をマスキングしたい:スピーカー2台で壁長さ10m程度までマスキングができます。
- 部屋や空間全体をマスキングしたい:スピーカー1台につき、直径約5mの円がマスキングエリア。最大4台つければ約100㎡をマスキングできます。
VSP-2に付属されているスピーカー2台、またはオプションのVSP-SP2を2台追加して最大4台でご使用ください。1台、3台といった奇数台での使用はできません。
スピーカー1台に対し、距離2m点(高さ1.1m)でのマスキング音の大きさ(演出音を除く)は、65[dB(A)]前後となります。
最大消費電力は14Wです。1カ月当たりの電気代は使用条件や電気会社との契約内容により異なりますが40円程度となります。
マスキング以外のコンテンツは流すことができません。
VSP-1
小型軽量、簡単設置が可能なオールインワンタイプなので、電源さえあれば大掛かりな設置工事なしで、すぐに運用を開始できます。機能としては、効率の高いマスキング音、シチュエーションに合わせて選択できる音色などがあります。
床置きを基本とし、会話を聞かれたくない人がいる場所でマスキング音が均一な音量で聞こえるように設置してください。
会話している人に向けて設置したり、すぐ近くで再生したりすると、会話の邪魔になりますので、そのような設置方法は避けてください。
1台だけではマスキング音の届く範囲が狭くなり、効果が十分に得られない場合が多いため、複数台の設置が効果的です。
はい。常に安定したマスキング効果が得られるように、運用中は、ほぼ一定の音量でマスキング音が再生されます。