物流大手の佐川急便は、全国に支店・営業所網が張り巡らされており、経営トップの方針や全国でスタートする新しいサービスなどを周知徹底するため、以前からWEB会議を活用してきた。しかし、音声品質や設置の手間などの不満も多く、リプレースを検討。音声品質が優れたヤマハの音声コミュニケーション機器を各会議室に導入した。このインフラを活用し、現場とのさらなるコミュニケーションの強化を目指す。
佐川急便株式会社
IT企画部 部長:南部 一貴氏
佐川急便では、顧客満足度の向上を目指した業務内容の見直しと、従業員の満足度向上を目指した労働環境改善が行われている。同社 IT企画部 部長 南部一貴氏は、「IT部門では、システムを活用した効率化に取り組んでいます。お客様のご希望に沿えるよう、配達日や時間を手軽に変更できるようにすることで不在再配達の減少を目指すなど、現場の負担軽減に取り組んでいきます」と語っている。
同社は、京都と東京の2本社制を敷き、全国に18支店、426営業所を持つ。このような体制の下で全国に均一のサービスを提供するためには、迅速で正確な情報伝達が欠かせない。そこで同社では、以前からWEB会議を活用。たとえば、毎週行われるトップや役員による全国の支店長に向けた通達や情報提供、新たな営業サービスに関する不定期の説明会などである。その他、遠隔地とのちょっとした打ち合わせなども入れると、ほぼ毎日のように活用されている。
このように全社的に活用されてきたWEB会議だが、不満も少なからずあった。まず、音声が聞き取りにくいという課題である。従来は、マイクとスピーカーが一体型の音声コミュニケーション機器を利用しており、音声がこもって聞こえたり、割れて聞き取りにくいなどの課題があった。また、30人程度入る大きな会議室で利用すると、端に座った人の声をマイクがきちんと拾えないという課題もあった。「会議で聞き取りにくいとそれだけでストレスです。もう一度話してもらう必要があり、時間もかかります。聞き取れないために誤解したままになると、さらに問題です」(南部氏)。
また、会議室数に対して機器が少ないため使いまわしており、毎回会議前に設置していた。同社 IT企画部 IT企画課 係長 太田 亨宣氏は、「IT部門が会議の度に設置作業をしていました。据え付けの大型ディスプレイにPCと音声コミュニケーション機器を接続し、接続確認をすると10~15分かかります。WEB会議は毎日のようにあるので、その度に設置の必要があり、かなり手間でした」と語っている。
ユーザーからも、いちいち設置しなくて済むよう数を増やし、音声品質を上げてほしいという要望があり、機器のリプレース時期だったこともあって、2018年夏に検討を開始した。
佐川急便株式会社
IT企画部 IT企画課:係長 太田 亨宣氏
まずインターネットなどで音声コミュニケーション機器の情報を調査し、ヤマハを含む複数の候補を比較検討。9月には東京高輪にあるヤマハのデモルームを訪れ、実際にヤマハの音声コミュニケーション機器を使ったWEB会議を体験し、音声品質を確かめた。とはいえ、デモルームでの品質が自社の会議室でも再現できるかどうかはわからない。そこで、実際に実機を貸し出してもらい社内で試した。南部氏は、「実機を貸してもらえたのは助かりました。実際に役員の会議などで使ってみて、支店に音声がよく聞こえるかどうかなどを確認してもらった結果、音声がクリアで臨場感があると好評でした。他社の製品も試したのですが、音声品質が優れていたのでヤマハを選択しました」と評価している。
11月に導入を決定し、年内にかけて機器の設置や設定などの準備を実施。本格稼働の開始は、2019年1月からとした。
今回導入した機器は、マイクを5台まで連結でき、中・大規模の会議室に対応した音声のみの「YVC-1000」と、もう少し規模の小さい会議に向くマイク・スピーカー・カメラ一体型の「CS-700AV」の2機種だ。佐川急便の東京本社の会議室は、30人程度収容可能の大会議室が5部屋、10人程度までの会議室が6部屋ある。大会議室には「YVC-1000」を、小会議室には「CS-700AV」を導入した。いずれも据え付け型として会議ごとの設置を不要にした。
なお、CS-700AVは、大型ディスプレイの下に据え付け、その下の台にPCを置いて、必要があれば全体をキャスターで移動して場所を選ばず利用できるようにした。太田氏は、そのカメラ性能について「従来、クリップ型のカメラを利用していましたが、両端が切れてしまい、端の人が映りませんでした。しかし、CS-700AVは広角なので、端までクリアに映り、画像もきれいです。カメラは固定でズームなどはできませんが、操作可能では勝手に設定を変えられてしまい、そのままになってしまう可能性があります。管理者としては、変えられない方がそのままで最適な状態を維持でき、管理もしやすいので助かります」と語っている。
操作も基本的にはPCを立ち上げるだけの簡便さで、簡単なマニュアルを脇に置き、IT部門の支援がなくてもセルフサービスで利用できるようにした。
導入したのは、東京本社に加え、京都本社と大阪にある拠点の3拠点。なお、営業所に関してはタブレットでネットワークに接続しており、その他の音声コミュニケーション機器は利用していない。
佐川急便が、ヤマハの音声コミュニケーション機器の導入により期待した最大の効果は、WEB会議の品質向上だ。発言が聞きやすくなれば、会議のストレスも減り、意思疎通もより円滑に行えるようになる。また、WEB会議の度に機器を設置する手間が不要になり、IT部門にとっては大幅な効率化が実現する。
さらに南部氏は、「現在WEB会議は、多くが本社から支社や営業所に対する情報伝達です。一方で、現場の声を経営に活かしたいというニーズもあります。そこで、今回導入した機器を利用し、WEB会議をもっと増やし、現場の声を吸い上げ、コミュニケーションの好循環を生み出したいと考えています」と期待を語る。
そのためにも、今後スマートフォンやタブレットなどで個人でも会議に参加しやすくしたい考えだ。テレワークの増加も考えられるため、リモートで外部から会議に参加できるようにしていきたいという。さらに南部氏は、「このしくみは、万一のBCP対応にも使えると考えています」と語っている。
今回の音声コミュニケーション機器の導入により、佐川急便のリモートコミュニケーションは、確実にレベルアップしている。これを活用し、さらに優れたサービスを提供してくれるに違いない。
ユニファイドコミュニケーションマイクスピーカーシステム
マイクを5台まで連結可能で、8~40人程度の中・大規模会議に最適。ヤマハ独自のHuman Voice Activity Detection(HVAD)により、音声信号から人の声を高精度で判定。さらに、エコーやノイズなど聞き取りにくさにつながる不要な音を除去するエコーキャンセラーやノイズリダクションを装備し、クリアで臨場感のある音声により、自然で円滑な音声コミュニケーションを実現する。
ビデオサウンドコラボレーションシステム for Huddle Rooms
Huddle(ハドル) Roomとは、少人数向け会議室のこと。その名の通り、少人数でのWEB会議に威力を発揮するマイク・スピーカー・カメラ一体型の機器だ。カメラは120度の広角なので、手前や端の人など、従来のカメラでは難しかった位置までしっかり映す。優れた音声性能を備えた4つの内蔵マイクにより発言者の声を追尾。聞き取りやすい音声と、見やすい映像により、円滑なリモート会議が実現する。
社名 | 佐川急便株式会社 |
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所在地 | 本社:京都府京都市南区上鳥羽角田町68番地 東京本社:東京都江東区新砂2丁目2番8号 |
代表取締役社長 | 荒木秀夫 |
創業 | 1957年3月22日 |
資本金 | 112億7,500万円 |
主な事業内容 | 宅配便など各種輸送にかかわる事業 |
(2019年02月25日 掲載)
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