「ZXY(ジザイ)」は、不動産総合マネジメントサービスを手掛けるザイマックスが提供する、法人会員向けのサテライトオフィスサービスだ。セキュリティに十分配慮し、声は聞こえてもその内容までは聞き取れなくするヤマハのスピーチプライバシーシステムを試している。
株式会社ザイマックス
ジザイワーク事業部
黒川 宗一郎氏
黒川氏:法人向けの会員制サービスです。サテライトオフィスというと、カフェのようにオープンな雰囲気のところも多くありますが、ZXYでは個人ワークに特化し、一人ひとりが集中して働けるよう、セキュアな空間を提供しています。オープンスペースも用意していますが、6割以上は個室です。お客様からは個人ワークに集中できる環境であることに加え、都心だけでなく郊外にも拠点が多いこと、基本料金がなく完全従量課金制でコストメリットが大きいこと、そして、場所が異なってもサービス品質が均一であることを評価いただいています。現在、約1,200社、21万名のお客様に登録いただいており、拠点数は2020年春過ぎには100を超える見込みです。
黒川氏:異なる企業の方々が場所を同じくするので、情報漏洩には十分に注意をしています。個室には鍵がかかるようにするなど、施設設計で工夫するのはもちろんのこと、共用プリンターのデータは一定時間が過ぎたら消去されるように設定し、廊下や個室のスピーカーからマスキング効果として流水音を流し、個室から電話やWeb会議の声が漏れても、聞こえにくくなるように配慮しています。以前はアコースティックギターの演奏を流していたのですが「知っている曲がかかると気が散る」といったご指摘もあり、流水音に変えました。ただ、音を消すための流水音もあまりボリュームを上げ過ぎると、快適性が損なわれます。そうした課題に直面しているときに、ヤマハのスピーチプライバシーシステムの存在を知って興味を持ち、ショールームでも体験した後に、試してみることにしました。現在は、東京駅近くの「ZXY八重洲2」の3つの個室で実証中です。
株式会社ザイマックス
ジザイワーク事業部
マネジャー
小倉 康平氏
黒川氏:このシステムを設置した個室内で、ボリュームを大きくしたニュースを流し、個室の外に出て聞き耳を立ててみました。すると、何か話しているのは分かるのですが、その内容までは聞き取れません。十分なマスキング効果を実感できました。今後、この効果を定量的に説明できるようになれば、お客様にとってもZXYの付加価値となり得ると考えています。
小倉氏:現在の個室の利用状況を見ていると、音漏れを心配してなのか、両隣が空室の部屋が好まれる傾向にあるように思います。しかし、私たちは同業他社が隣室にいても安心してお使いいただける環境を整えていかなくてはいけません。スピーチプライバシーシステムの効果を体感いただいたお客様には、より集中して働ける安心な空間として使っていただけるのではないかと考えています。
黒川氏:事業規模は少なくとも現在の3倍程度までは拡大する計画です。また、昨年末から月単位で個室を専用利用できる「ZXY Monthly」の提供を開始しました。セキュリティレベルのさらに高い専用空間で、専用のネット回線敷設などサテライトオフィスとしての様々なカスタマイズも可能なため、企業にとっては今までリモートワークが難しかった職種にも対象を広げられるなど、働く場所の新たな選択肢になると考えています。
小倉氏:今年の夏は大型イベントの開催に伴い、都心の交通が混雑することが懸念されています。この都心の交通混雑の解決に、郊外ワークプレイスの提供という側面から貢献するべく、「ZXY CAMP」と銘打って、大学や高架下などの遊休スペースに、この夏限定のワークプレイスを計100万席用意します。この夏を1つの機会として、より多くの方がリモートワークを体験されれば、今後の働き方改革の大きな転機にもなると考えています。
「VSP-2」は、サウンドマスキングの技術を用いて、音声での情報漏洩を防ぐ新発想のシステムだ。存在感を感じさせない小型のスピーカーからマスキング音を流すことで、話している内容を聞き取りにくくする
ZXYでは、隣り合った個室での電話や打ち合わせの声が聞こえないように「VSP-2」を設置している(一部)。壁だけでは遮断できない音声も「聞こえても会話の内容が聞き取れない」状態になるため、安心して業務の話を進めることができる
(2020年06月29日 掲載)
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