働き方改革を場づくりで支援するイトーキが示す次世代の働き方戦略「XORK Style」を自ら実践する場が「ITOKI TOKYO XORK」だ。WORKを次の次元へ進化させようとするこのオフィスでは、音についても、求められる働き方に合わせた様々な配慮をしている。
株式会社イトーキ 商品開発本部
第1プロダクトマネジメント部
第1チーム チームリーダー
柴田 慶太氏
柴田氏:2018年12月にオープンした、イトーキの社員が働くオフィスでもあり、イトーキが提案する新しいワークスタイルを実践する場でもあります。一般的に、これまでの企業組織はピラミッド型で、オフィスも部門ごとに区切られていましたが、最近はよりフラットな、コミュニケーションのしやすい場に変化しています。拠点の集約も進んでおり、ここでも、3フロアのメガプレート(巨大面積)に、かつては4拠点に散らばっていた約800人が働いています。
業務内容に適した場を用意しているのも特徴です。当社と業務提携をしているオランダのヴェルデホーエン社が提唱する「Activity Based Working」(ABW)では、働く人の活動を10のふるまいに分類し、それぞれのふるまいにふさわしい場があるとしています。1人で集中するなら静かな個室、複数人でアイデア出しをするならより広いスペースといった具合です。そうした場を誰もが柔軟に使い分けられるように、働く人の数より多くの席を用意しています。これが従来のフリーアドレスとの最大の違いです。また、個室は前面をガラス張りにし、使用中かどうかを一目で分かるようにしています。
柴田氏:全国の拠点をつなぐ会議にも、テレワーク中の社員が加わってのミーティングにも使用しています。重要な会議など、ごく一部の会議を除いては、出席者が会議のために出張することは少なくなりました。
こうした環境を整えるため、全室にヤマハのビデオサウンドコラボレーションシステム「CS-700AV」を導入しています。決め手となったのは、音の良さに加え、マイクスピーカーとカメラが一体化され、ディスプレイの下など、壁に設置できることです。オフィスのデザインをする側からすると、机の上に設置するタイプだと配線がどうしても気になりますが、これなら壁に設置でき、配線を壁内に隠すことができるので、きれいな環境を整えられます。これも、生産性向上には重要な視点です。
柴田氏:集中できるクローズされたエリア、ある一定の高さのパーティションで区切ったセミクローズなエリア、完全にオープンなエリアの順に並べ、音のグラデーションをつけています。クローズなエリアとそれ以外のエリアの間には、壁も設置しました。
また、ヤマハのスピーチプライバシーシステムも導入し、オフィス全体に音のマスキングを施しています。
効果は使ってみて実感しました。18時を過ぎるとマスキング音が止まるのですが、そのとたん、周囲の声がはっきりと聞こえるようになるのです。個室にいても、隣の部屋の声が聞こえます。それまではマスキングによって音のストレスが減らされていたんだと実感する瞬間です。
柴田氏:金融関係のお客様から、セミクローズなブースでのお客様の話が外に漏れないようにしたいというご相談をよくいただきます。これは私たちの、セミクローズなエリアでも、遠隔会議を可能にしようという新しい試みにもつながっています。
ここで実践している「XORK Style」は、今後、当社の他の拠点にも展開しお客様にも提案しております。働く人からできるだけストレスを取り除くことは、生産性を向上させるだけでなく、エンゲージメントを高めることにもつながります。音も考慮しながら、働く人の活動にふさわしい場づくりを、一層深めていきます。
マイクとスピーカー、そして120°を超える広視野角カメラが一体化されたスリムでスタイリッシュな筐体で、壁掛け可能。コンパクトなハドルスペースにもすっきり収まる。PCとの接続にはUSBケーブルを使用
イトーキのイノベーションの拠点「SYNQA」でもマスキングをし、声が漏れてもその内容を聞き取りにくくしている。小型のスピーカーはさりげなく空間に溶け込む
「ITOKI TOKYO XORK」では集中作業や情報共有のためのスペースが整備されており、仕事内容に最適な場を選べる
(2020年07月06日 掲載)
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